nevertheless

美しさと賢さとノスタルジーの回顧録

母のセカンドライフ、父の偉大さ

コロナ禍で不穏な世の中の今日、

久しぶりに実家に帰省した。

母はこの5月に長く勤めた会社を退職し、韓ドラを見て、数独をして、ルービックキューブをして、書道をする…そんな趣味にまみれた生活で、父も先月定年退職を迎え趣味のサイクリングで激痩せしていて2人とも有意義な時間を過ごしていたようだ。

 

ちなみに今回の帰省に置いて事前のお互いの感染対策は万全で、症状も一切ない状態で私も両親も納得の上の帰省なので悪しからずお願いしたい。

 

そんな帰省の1日目夕方、母の携帯が鳴った。

いつもより高くなった通話のトーンで身内でないことはわかった。

 

母は通話終了後に少しため息をつきながら父の書斎へ向かい、何かを話していた。

 

話を終えてリビングに戻った母を追うように父が来て雇用等について話していたため母の就職の話だと分かった。

 

そこで母が

「今からフルで働いて実家で何かあったら辞めなきゃいけない。」

と漏らすと父がすかさず

「お義父さんの事を前提として諦めることはやめた方がいい。最悪の事態を想定して何もしなかったら何も起こらなかった時に後悔する。もしもの時は一緒に動ける体制を作るから今は自分がやりたいと思う事優先的に考えた方がいい。」と言った。

 

父は昔から少年のような純粋さをもち、なかなか売れない芸人のように小ボケまくって1人で楽しくなっているような人だが、ここぞという時に必ず私たち家族の支えになる事を言い放つ。

 

一部始終しか知らない私だが父の言った言葉は私も救われるような寛大な言葉だったように感じている。

 

初就職の会社は子供が出来て夢半ばで諦め、子育てを優先した2.30年後、子供が自立したからセカンドライフを充実させたくても自身の両親の介護の可能性があり思うように動けない。

 

男性ももちろんだけど女性は特に悩むことが多いと思う。それは昔から家事育児介護は女性の仕事であることが当たり前に近い風習があるからだ。

 

昨今では、性別役割分業は問題視されるようになり緩和されている部分もあるがまだまだ固定観念に縛られていることもある。

そんな時の父の一言はきっと母の救いになったと思う。

 

尊敬する母のやりたかったことを仕事とできる充実したセカンドライフを願い、尊敬する父の偉大さを感じた帰省だった。